さまざまなスポーツに使える、おすすめ基本スキル( 運ぶ/投げる/構える/支える)



メディシンボール・ウォーキング(運ぶ)





練習ポイント

  • ・肘を伸ばした状態でメディシンボールを頭の上で持ち上げる。
  • ・肩がすくみやすいので注意。首を長く保とう。
  • ・腰が反りやすいので注意。ボール・頭・股関節が一直線になる。

体幹・肩甲骨周りの安定性を高めるトレーニング

狭い場所でも手軽に筋力アップやフィットネスが実現できるメディシンボール(3㎏)を使用して体幹を刺激しながらも、下半身をスムーズに動かすことで実際のスポーツ動作に近しい刺激を与えるトレーニング。
メディシンボールは頭の上でキープする。肘が曲がる・腰が反る場合は、負荷が高い可能性があるので軽いボールに変更するとよい。体幹の力が抜けやすい姿勢を取りながらスムーズな歩行を目指そう。まずは、30秒×5セットにチャレンジ。実際のスポーツ同様、呼吸は止めず行ないましょう。慣れてきたら、歩行の幅やスピードを上げてみよう。


■こんなプレーに活きる!

衝突や不意の動きでもブレにくい体をつくるには、体幹の安定性が欠かせません。コンタクトがあるスポーツでは、体幹や肩甲骨周りをしっかりと使うことが重要です。コンタクト時に十分な力が入っていないと、予期せぬ負傷につながったり、普段は負荷のかからない部位にストレスがかかって怪我のリスクが高まります。スポーツの実際の動作では、身体全体をむやみに力ませず、力を入れる部位とリラックスする部位を使い分けることでより自然な動きに近づけることができます。


■上達ポイント・意識ポイント

ボールを持ち上げることで上半身が力みやすくなるため、しなやかな歩きを意識して行います。呼吸が止まると体が硬くなるので、動作中も自然な呼吸を心がけましょう。力んでしまう場合は負荷が高い可能性があるため、軽いボールに変更するか、まずはボールを持たず両手をバンザイした姿勢で動作を行ってみるのがおすすめです。


■強度を上げるための工夫

・メディシンボールを重くする
・歩行スピードを早くする(制限時間を設定する)
・歩行距離や時間を長くする
・歩行をランジに変更する


■コーチや練習を見守る保護者の方に対する着目ポイントと声がけ

動作中に会話をしてみましょう。雑談でかまいません。力みがあると呼吸が止まり会話が続きにくくなります。また、会話しながら腰が反っていないか、肘が曲がっていないかを観察してください。「腰をまっすぐ保とう」「肘を伸ばしたままキープ」などの声かけが効果的です。





メディシンボール・キャッチ&スロー(投げる)





練習ポイント

  • ・ボールの勢いで腰が反りやすいので注意します。
  • ・キャッチだけでなく、狙ったところに正確に投げます。
  • ・姿勢をキープしつつ、キャッチした勢いを使って投げ返します。

ボールをキャッチした力を使って狙った場所に投げ戻す連動性を高めるトレーニング

このトレーニングは、体幹を安定させたまま上半身の動きと力の伝達を鍛えるものです。まずは十分に腹筋をストレッチしてから、座った状態で両足を浮かせます。骨盤をやや後傾させ、お腹に力を入れて姿勢を保ちましょう。そのままパートナーから投げられたメディシンボールをキャッチします。キャッチの衝撃で腰が反らないよう意識しながら、体幹を安定させたまま溜めた力を使い、狙った場所へ正確にボールを投げ返します。
最初は20回を1セットとし、3セットを目安に行います。慣れてきたらうつ伏せの状態から起き上がり、キャッチとスローを組み合わせることで、さらに実戦的な全身の連動を鍛えられます。


■どういったプレー場面にそのスキルが活かされるか

この動作は、腹筋を使ったまま上半身を操作する力を高めるため、野球の送球やバスケットボールの素早いリターンパス、ハンドボールでの速攻、ラグビーやアメリカンフットボールでのコンタクト後の次動作などに役立ちます。ボールの重さや勢いに負けない体幹の強さは、接触後の安定性や方向転換のスムーズさにもつながり、ケガの予防にも効果的です。


■上達・意識ポイント

キャッチ時に腰が反ってしまう場合は、腹筋の支えが弱いか、ボールの負荷が強すぎることが考えられます。そうしたときは、まずはボールを使わずにシンプルな腹筋や体幹トレーニングから始めるとよいでしょう。みぞおちとおへそを近づける意識を持ち、少し腰を丸めて骨盤を後傾させると腹筋を働かせやすくなります。動作中は呼吸を止めず、安定した体幹でキャッチとスローを繰り返すことを意識します。


■コーチや練習を見守る保護者の方に対する着目ポイントと声がけ

練習中は、キャッチの衝撃で腰が反っていないか、常にお腹に力が入っているかを確認します。腰が反っていると腹筋の支えが弱まり、ボールの勢いをうまく制御できないだけでなく腰を痛めるリスクがあります。「お腹を固めて!」「腰をまっすぐキープ!」などのシンプルな声かけが効果的です。正確に投げ返せているか、フォームが崩れていないかも観察しましょう。


■強度をあげるための工夫

・ボールを重くする
・ボールを投げる位置を遠くする
・ボールを投げる方向を身体の横や斜めにして、ひねりを加える
負荷を段階的に上げることで、より実戦的な動作の中でも安定した体幹と強いパワー発揮ができるようになります。




トレーニングに活用いただけるアイテム紹介




ドロップパワーポジション(構える)





練習ポイント

  • ・お尻をしっかりと引き、膝がつま先より前に出ないようにします。
  • ・膝が内側に入らないように注意します。
  • ・リラックスした状態から瞬間的にパワーポジションを取ります。

次の動作を効率的に行うことができる『パワーポジション』を瞬時にとるトレーニング

パワーポジションとは「次の動作への切り替えしや、力を発揮しやすい構え方」のことを指します。様々な競技においてパフォーマンス向上やケガ防止のためにとても重要な基本姿勢です。普段から意識して身につけることで、自然に安全かつ強い動きが取れるようになります。
準備として、もも裏からふくらはぎをしっかりストレッチし下半身の動きを出しやすくしておきましょう。両手は腰にあて、両足を肩幅よりやや広めに開き、つま先と膝の方向をそろえます。背中を丸めないように胸を軽く張り、上半身を前に傾けながらお尻を後ろへ突き出すイメージで股関節を曲げていきます。膝が内側に入りやすいので注意してください。
普段からこの姿勢を取る練習を繰り返すことで、無意識でも安定したパワーポジションを取れるようになり、競技中の素早い動きに対応しやすくなります。最初は5回×5セットを目安に行いましょう。慣れてきたら、ホイッスルや拍手が鳴ったら(聴覚認識)、相手のジェスチャーを見たら(視覚認識)、右肩を触られたら(触覚認識)など、異なる合図から瞬時にパワーポジションを取る練習を行うと、実戦に近い反応力が養われます。


■どういったプレー場面にそのスキルが活かされるか

パワーポジションは、あらゆるスポーツ動作の出発点であり着地点でもあります。ディフェンスの構えや、急な減速・ストップ、ジャンプの着地など、多くの動作がこの姿勢から始まり、この姿勢で終わります。次の動きにスムーズにつなげやすく、股関節全体を効率よく使えるため、ひざや腰にかかる余計な負担を減らし、ケガの予防にもつながります。


■上達・意識ポイント

まずは正しいパワーポジションを習得することが大切です。股関節と膝を軽く曲げ、胸を自然に張り、重心をやや後ろに置くイメージを持ちましょう。このとき、膝がつま先より前に出てしまう場合は股関節がうまく使えていない可能性があります。椅子に腰を下ろすようなイメージで動作を行うと分かりやすいです。また、膝が内側に入る「ニーイン」が起きやすいので、常に足先と膝の向きをそろえることを意識します。


■コーチや練習を見守る保護者の方に対する着目ポイントと声がけ

瞬間的に安定した体勢を取れているか、毎回同じフォームでパワーポジションを再現できているかを確認します。重心がブレていないか、膝が内側に入っていないかを見守ることが大切です。「お尻を後ろに!」「膝はつま先と同じ方向!」などの声かけが有効です。正しい姿勢を素早く取れるようになれば、動き出しの速さや安定性が格段に向上します。


■強度をあげるための工夫

・メディシンボールやダンベルなどの重りを持った状態で行う
・姿勢を取った後に、サイドステップやジャンプなど動きを組み合わせる
・反応の合図をより複雑にする(音や視覚、触覚を混ぜる)
負荷を少しずつ上げていくことで、瞬時にパワーポジションを取るだけでなく、そこから素早く次の動作に移れるようになり、試合中の実用性がさらに高まります。





瞬間フロントブリッジ(支える)





練習ポイント

  • ・頭から足首までが一直線の姿勢を意識します。腰が反りやすいため、少しお尻が上がってもOKです。
  • ・リラックスした状態から“素早く”フロントブリッジの姿勢を取ります。
  • ・フロントブリッジをキープした状態では力まず、自然な呼吸を続けます。

基礎的な体幹キープの姿勢と瞬間的にとるトレーニング

このトレーニングは、体幹を安定させる基礎姿勢であるフロントブリッジを素早く取れるようにすることを目的としています。まずは腹筋をストレッチし、背骨をしなやかに動かして準備を整えましょう。うつぶせのリラックスした状態から、頭から足首までが一直線になるようフロントブリッジの姿勢を取ります。立った姿勢をそのまま前に倒したイメージで、首から背中、腰、脚までを一直線に保ちます。フロントブリッジができたら数秒キープし、力を抜いて元の姿勢に戻ります。これを繰り返し、最初は5回×5セットから始めましょう。
慣れてきたら、パワーポジションの練習と同じように、合図に素早く反応して姿勢を取る練習を加えます。ホイッスルや拍手が鳴ったら(聴覚認識)、相手がチョキを出したら(視覚認識)、右肩を軽く触られたら(触覚認識)といった、異なる刺激を組み合わせて瞬時にリラックス状態からフロントブリッジへ移行できるようにしましょう。実戦に近い反応力と体幹の切り替えが養われます。


■どういったプレー場面にそのスキルが活かされるか

このトレーニングで身につくのは、予測できない刺激に対して体幹をすぐに働かせる力です。サッカーやラグビーなどで後方から接触を受けたとき、バスケットボールで相手の急な動きに反応するとき、予想外の衝撃に対応して体勢を崩さない安定性につながります。常に力んでいる状態では動きが遅くなり疲労もたまりやすくなりますが、この練習により「必要なときだけ力を出す」切り替えができるようになります。


■上達・意識ポイント

まずはフロントブリッジの姿勢を正確にキープできるか確認しましょう。腰が大きく反ってしまう場合は体幹の支えが不十分なサインです。少しお尻を上げて腰を守りながら、徐々に真っすぐなラインを意識できるようにします。反応して姿勢を取る際は、とにかく素早く狙ったポジションを作ることが重要です。呼吸を止めず、自然な呼吸を維持することも体幹を安定させるコツです。


■コーチや練習を見守る保護者の方に対する着目ポイントと声がけ

練習を観察するときは、合図に対して狙った姿勢を一発で取れているかをチェックします。動き出しが遅れていないか、また本人が自分の予測だけで動いていないかもポイントです。声かけとしては「腰を反らさない!」「頭から足まで一直線!」などが効果的です。姿勢がブレずに取れるようになると、試合中の反応力や安定感が増してきます。


■強度をあげるための工夫

肘で支えるフロントブリッジから、手で支えるプランク姿勢に挑戦してみましょう。さらに、合図によって取る姿勢を変えると難易度が上がります。例えば「1」と言ったらフロントブリッジ、「2」ならプランク、「3」で元の姿勢へ戻るなど、反応のバリエーションを増やすことで、判断力と体幹の瞬発的な使い方をより実践的に鍛えられます。




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