成長期の身体を守るためにーー今日からできる怪我予防、横山先生に聞いてみた!

成長期の身体を守るためにーー今日からできる怪我予防、横山先生に聞いてみた!

成長期の身体を守るために
ーー今日からできる怪我予防、横山先生に聞いてみた!

女性アスリートの競技継続率の改善を目指す「Keep Playing」では、554人の女性・クィアアスリートの声から生まれたアンダーウェアブランドOPTとともに、さまざまな課題解決に取り組んでいます。
前回は、成長期の身体の変化や女性アスリートに多い怪我について、OPTメディカルアドバイザーの視点からお伝えしました。今回は“実践編”として、理学療法士・横山先生の指導のもと、怪我予防につながるストレッチングやトレーニングをご紹介します。“好きなことを続ける。スポーツを続ける”ために、今日から一緒に始めてみませんか?

トレーニングに活用いただけるアイテム紹介

こちらの記事では、moltenのサッカーボールとマーカーを使って、ストレッチングやトレーニングに取り組んでいます。マーカーは動作の目安に、ボールは負荷アップに。お手元にある方はぜひ試してみてください!

 

怪我を防ぐカギは“着地”にあり!

皆さんは、自分やチームメイトのジャンプフォームを、意識して確認したことはありますか?ジャンプの着地は、あらゆるスポーツ動作の基本です。前から見て膝が内側に入っていたり、横から見たときに背中が丸まって姿勢が崩れていると、膝関節や、股関節、足首など脚の関節に負担がかかり、怪我の原因になることもあります。

まずはペアになって、お互いにジャンプ〜着地のフォームをチェックしてみましょう。 マーカーを肩幅に置き、足の幅をマーカーにあわせるようにしてジャンプすると、フォームのチェックがしやすくなりますよ。

やってみよう!成長期のカラダを守る実践トレーニング

それでは、さっそく、怪我予防につながるメニューをやってみましょう。まずは、太ももの前(大腿四頭筋)と裏側(ハムストリングス)のストレッチングから。筋肉の硬さをやわらげて膝や股関節の動きをよくすることで、成長期に多いオスグッド病や骨盤裂離骨折などの予防につながります。

参考:成長期に起こりやすい怪我のご紹介
https://shop.moltensports.jp/blogs/molten/20250807_01

立って行う場合は、片足立ちになり、もう一方の足のかかとをおしりにくっつけます。ふらつくときは、壁やチームメイトの肩を支えに使っても大丈夫です。太ももの前が硬い場合でも、できる限り体幹は直立にして行いましょう。

足首を逆手で握ってしゃがんだ状態から、お腹と太ももをくっつけたまま、できる限り伸ばしましょう。膝が曲がっていても、太ももの裏が伸びている感覚があればOKです。

次は、スクワットとランジをご紹介します。ステップやジャンプ、ダッシュなど、あらゆる動きの土台になるエクササイズです。足を肩幅に開き、頭の上でボールをもって、スクワットをします。膝だけではなく股関節や足首もしっかり曲げましょう。

1セット10〜20回を目安に、フォームを意識して2〜3セットくり返してみましょう。ボールを頭の上で持って行うときは、背中や腰が丸まったり、反りすぎたりしないように注意。姿勢をキープすることが大切です。

次はスプリットスクワットです。かかとが浮かない程度に、足を前後に開きます。身体をまっすぐに保ったまま、後ろの膝は地面ギリギリまで、真下におろします。体幹が前や横に傾いたり、膝が内側に入らないように気をつけましょう。

最後に、応用編としてクロスランジに挑戦してみましょう。まずは画像のようにマーカーを正三角形に置きます。顔や体幹は正面を向いたまま、足をクロスしながら、マーカーに向かって1歩踏み出します。身体をひねっても、股関節、膝、つま先の向きが一直線になるように注意しましょう。

今回紹介したストレッチングやトレーニングは、今日から始められるものばかりです。フォームや身体の使い方を意識して取り組むことで、「自分の身体はこう動くんだな」「ここが弱いんだな」「ここが硬いんだな」といった、自分の特徴に気づくきっかけにもなります。こうした気づきこそが、怪我予防の第一歩です。

まずは週2〜3回程度から、自分のペースで、無理なく続けていきましょう。さらに実践的に取り組みたい方は、モルテンが紹介しているメニューにぜひ挑戦してみてください。

参考:「さまざまなスポーツに使える、おすすめ基本スキル」
https://shop.moltensports.jp/blogs/info_huddle/20250709_02
https://shop.moltensports.jp/blogs/info_huddle/20250709_03

日々の積み重ねが、怪我を防ぐ力に

最後に、継続することの大切さや、みんなで取り組むことの意味について、実際に予防トレーニングに取り組んでいる学生チームと、横山先生からメッセージをいただきました。 日々の練習やチームづくりのヒントとして、参考にしてもらえたらうれしいです。

 

これまでチームで予防トレーニングに取り組んできたことで、継続してトレーニングを行うことへの意識を高めることができ、怪我の予防に対するモチベーションも高まりました。今後もトレーニングを欠かさず、怪我をしない身体づくりを続けていきたいと思います。そして、チームとしてさらに強くなり、仲間とともにバスケを思いきり楽しみます!

柴田学園大学附属柴田学園高等学校
女子バスケットボール部
(令和7年度 青森県 高校総体 優勝)

 

理学療法士
横山先生

「怪我は予防が何より大切!」とわかっていても、実際にトレーニングを続けるのは簡単ではありません。でも、1人では難しいことも、仲間と一緒なら頑張れることもあります。みんなで取り組むことでチーム全体の意識も高まります。
ぜひ、日々のウォーミングアップに予防トレーニングを取り入れて、怪我を防ぐ身体づくりをいっしょに目指しましょう!

OPTメディカルアドバイザー プロフィール

横山 寛子(理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)

東北福祉大学健康科学部リハビリテーション学科助教、弘前大学大学院医学研究科リハビリテーション医学講座客員研究員。スポーツ外傷・障害の予防に関する研究を行いながら、宮城県を中心に東北地方でスポーツ活動をする方々をスポーツ種目、世代、レベルを問わずサポートしている。怪我予防のためのエクササイズや動作指導を通じ、パフォーマンス向上や安全なスポーツ環境づくりを目指している。

OPTについて

554人の女性・クィアアスリートの声から生まれたアンダーウェアブランド。2021年から、生理の日のパフォーマンスに伴走する『吸収型ボクサーパンツ』を開発・販売。これまで可視化されてこなかった女性たちの制限を解放し、パフォーマンスを最大化するプロダクトを届けている。OPT wagamama caravanプロジェクトを通して、全国各地80クラブ・2000名(2025年7月時点)の女子ユースアスリートたちと連携中。

オンラインストア:https://opt-onlinestore.com/
Instagram:https://www.instagram.com/opt_wagamama/

参考文献

  1. 公益財団法人日本スポーツ協会(2022)公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト, 安全・健康管理およびスポーツ外傷・障害の予防
  2. 公益財団法人日本スポーツ協会(2022)公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト, リコンディショニング
  3. Omi Y, et al. (2018). Effect of Hip-Focused Injury Prevention Training for Anterior Cruciate Ligament Injury Reduction in Female Basketball Players: A 12-Year Prospective Intervention Study. Am J Sports Med.46(4):852-861.
  4. Neuhaus C, et al. (2021). A systematic review on conservative treatment options for OSGOOD-Schlatter disease. Phys Ther Sport. 49: 178-187.

 

編集:Ai Tomita
撮影:Kanae Fukumura
デザイン:mina ito