<前編>酷暑から子どもたちを守れ!JFAで活躍するスポーツドクターに聞く、最高のプレーを引き出す暑さ対策

<前編>酷暑から子どもたちを守れ!JFAで活躍するスポーツドクターに聞く、最高のプレーを引き出す暑さ対策

<前編>酷暑から子どもたちを守れ!
JFAで活躍するスポーツドクターに聞く、
最高のプレーを引き出す暑さ対策

年を追うごとに厳しさを増している日本の夏。燦々と照りつける太陽の下で走り続けるサッカープレーヤーにとって、暑さとの戦いは避けられないものです。熱中症のリスクを避け、子どもたちが安全かつ快適にサッカーを楽しむために保護者が何ができるのでしょうか。サッカーと医学の専門家から学びましょう。

聞いたのは…  順天堂大学医学部准教授  福島理文先生

順天堂大学医学部准教授。2016年よりJFA医学委員会スポーツ救命部会員に加わり、U-23日本代表チームドクター(東京・パリオリンピック)、AFCメディカルオフィサーのほか、いわきFCのチームドクターも務める。選手はもちろんのこと、審判や観戦者までサッカーに携わるすべての人が安心安全にサッカーを楽しめる環境づくりにも尽力している。

※モルテンはJFAのソーシャルバリューパートナー/コンペティションパートナーとして、サッカーをより安全に、より楽しくプレーするための環境整備に取り組んでいます。

大人よりも小学生のほうが熱中症のリスクが高い理由

多くの人が本格的なサッカーキャリアをスタートさせ、身体の機能が発達段階にある小学生年代は、中高生などに比べて暑さへの適応に時間がかかる年代です。福島先生はこの年代の特徴について次のように説明します。

「汗をかいて体温を調節する能力が未熟であることに加え、身長が低いため地面からの距離が近く、照り返しによる熱の影響をダイレクトに受けてしまいます。また、体重あたりの体表面積が大きいため、外からの熱が体内に取り込まれやすいというのも特徴です。さらに、水分補給や休憩を忘れて夢中でサッカーや遊びを続け、身体の異変に気づかないということもありえるので、保護者のみなさんが注意深く見守る必要があります」

サッカーキッズの保護者が特に心配なのが、夏場の熱中症でしょう。めまい、立ちくらみ、筋肉のけいれん(こむら返り)といった軽度の症状から頭痛、吐き気、倦怠感といった症状に進み、さらに悪化するとけいれんや失神、意識障害などが発生。後遺症が残ったり、最悪の場合命を落とす可能性もあります。

一般的には高齢者や乳幼児がフォーカスされることが多い熱中症ですが、炎天下の中で長時間、ハードにプレーするサッカー選手、特に一気に運動強度が上がる小学生年代はその限りではありません。

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夏本番に向けて、暑さに適応した身体作りを始めよう

練習を比較的涼しい早朝や夕方に行う、休憩時間や飲水タイムをこまめにとる、テントなどで日陰を作るなど、夏場の暑さ対策は多種多様ですが、夏本番に向けた準備として取り組みたいのが「暑熱順化(しょねつじゅんか)トレーニング」。簡単に言いかえると「暑さに適応するためのトレーニング」で、国際大会に出場するような選手も暑い国に遠征する前には必ず行っているそうです。

「汗には体内にこもった熱を体外に放散する役割があるのですが、身体が暑さに慣れていない状態だと汗腺が十分に開かず、”いい汗”がかけません。意図的にたくさん汗をかく状態を作り出して汗腺を開き、さらさらとしたいい汗をかけるようにしておきましょう」

暑熱順化トレーニングの方法はとてもシンプル。ピステやウィンドブレーカーなど汗が籠もりやすい上着を着用して、ランニングやサイクリング、縄跳びなどの有酸素運動を行うだけです。

「最初は様子見からスタートし、少しずつ時間を増やしたり強度を上げていきます。暑さに慣れ、しっかり汗が出るようになるには最低5日かかると言われているので、ゴールデンウィークごろから気温が暑くなると想定し、4月の中旬ごろからゆっくり始めてみると良いでしょう。大人やアスリートであればサウナの活用も一つの方法ですし、サウナが苦手な方や環境的に難しい場合には、やや熱めのお風呂にゆっくり浸かり、発汗を促すことでも暑熱順化に役立ちます」

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プレー前はとにかく身体を冷やす!「プレクーリング」を日々の習慣に

続いて福島先生が教えてくれたのは、運動前に身体を冷やし、運動時に深部体温(内臓の温度)が上がることを抑える「プレクーリング」です。

「ウォーミングアップの直前まで冷房の効いた部屋や車の中で待機する、首にアイスタオルや氷のうをあてる、冷たいものを飲んで身体の中を冷やすなど、状況に応じてできることをやってみてください。アップが終わったら着替えをし、試合開始までまた身体を冷やすことも大切です。冷たい氷水に10〜15分程度手や足をつけることで、深部体温の上昇を抑える効果が期待できます。氷の準備が難しい場合は、氷嚢を握るだけでも補助的な冷却効果が期待できます。

モルテンのアイスゲームベストは、着るだけで両脇と背中を冷やすことができるアイテム。40度の環境下で約4時間冷たさが持続するので、自転車や徒歩での移動中に着てプレクーリングとして活用することはもちろんのこと、トレーニング中の着用もおすすめです。

「試合や練習場で大量の氷を長時間キープするのは難しいですし、氷のうを使うとどうしても手が塞がって他のことができなくなってしまいます。このベストは持続時間が長いですし、両手が空いた状態で身体を冷やせるというのがすごく良いですね。軽くてプレー中にも使えるので、身体を冷やし、集中力を維持しながら、安全かつ質の高い練習ができるのではないかと思います」

アイスベストとセットで使いたいのが、サッカーキャップの下にかぶるインナーキャップ。綿の約2倍の冷却効果がある素材を使い、サッカーキャップだけでは補えない首まわりの紫外線予防とクーリング効果が期待できます。

「頭の上が紫外線を浴びることはもちろんのこと、大人より地面から近いところにいる子どもは照り返しの熱などでもダメージを受けています。上からも下からも受けている熱をこのインナーでカバーできるのはすごく大きいと思います」

プレーの合間にも内から外から徹底クーリング!

練習や試合の合間にもスキがあれば身体を冷やすことが大切です。やり方はプレクーリングと変わりませんが、特に重要なのが水分補給。「汗をかいた分だけ水分が失われますし、水分と同時にナトリウムやカリウム、マグネシウムといったミネラルも失われます。夏場は水やお茶だけでなくスポーツドリンクや経口補水液も準備しておきましょう。シャーベット状の飲料(アイススラリー)も体を内側から冷やす方法として有効です」

冷房の効いた部屋が近くにないときに便利なのが、ベンチに座った選手たちを一気にクーリングできるアウトドアミストファン。タンクに水を満タンに入れたら5時間から9時間程度連続使用でき、氷も電源も不要なので、水さえあればどこでも使える頼もしい味方です。「ベンチは熱がこもりやすいので、身体に風と冷たいミスト(霧)が当たると選手たちはかなり楽になると思います」

後編では熱中症になってしまったときの対応について教えていただきました。