84.4%の選手が「生理で辛い」?!これまで見えてこなかった“隠れ我慢”とは。女性アスリートと生理に関する実態調査を実施しました

84.4%の選手が「生理で辛い」?!これまで見えてこなかった“隠れ我慢”とは。女性アスリートと生理に関する実態調査を実施しました

84.4%の選手が「生理で辛い」?!
これまで見えてこなかった“隠れ我慢”とは。
女性アスリートと生理に関する実態調査を実施しました

2023年10月、スポーツ⽤品メーカーの株式会社モルテン(本社:広島市⻄区、代表取締役社⻑:⺠秋清史)は、554人の女性・クィア*アスリートの声から生まれたアンダーウェアブランドOPT(運営:株式会社Rebolt 代表者:内山穂南、下山田志帆)とともに、「⼥性アスリートと⽣理」 に関する実態調査を実施しました。

⼥性アスリートの“見えにくい”障壁となっている生理問題。

「女性アスリート」と「生理」があまり結びつけて語られてこなかった結果、トップレベルに限らず、中高生の選手にとって重大な問題になっていると耳にする機会も増えてきました。

本アンケートでは「パフォーマンスの向上を目指す」という視点よりも、まずは選手一人ひとりの課題解決にフォーカスすることを意識しています。どれほどの選手がストレスを抱えているのか。不調を感じても我慢してしまうのはなぜか、その背景にあるものとはーー。

260人の女子ユースアスリートに協力していただき、生理にまつわる課題の可視化、細分化を試みました。

約8割の選手が「隠れ我慢」

そもそもどれくらいの選手が生理に関する悩みを抱えているのでしょうか。

当調査では260人の女子ユースアスリートを対象にアンケートを実施したところ、生理で辛い経験をしていると答えたアスリートは84.4%。

生理の問題を「諦めている」と答えたアスリートは約7割近くにおよび、生理の辛さは個人レベルの問題ではないことが明らかである一方で、「隠れ我慢」という手段を取るしかない現状が浮き彫りになりました。

具体的な不調の内容(複数回答可)としては、▽下腹部痛(183人)▽腰痛(126人)▽頭痛(78人)乳房痛(53人)ーーーと身体的な痛みが多く挙げられています。

一方で、「精神的問題を抱えている」と答えた人は87人。身体的な症状にとどまらず、約40%の選手がメンタルの不調も抱えている実態が見えてきました。

また、上記の問題が起きた時の対処法(複数回答可)についても、「練習を休む(21人)」「痛み止めを飲む(141人)」「仕方がないと諦める(151人)」と、多くの選手がその場凌ぎの対処法で乗り切っていることが明らかに。「ピルを服用する」と答えたのは260人中14人で、スポーツ界も例に漏れなく低用量ピルの認知・普及率が未だ低いことがわかります。

生理用品に関しても、約7割が悩みを抱えていると回答。具体的には「汗で蒸れる(189人)」「経血が漏れる(96人)」「生理用品がずれてくる(170人)」「生理時特有のニオイがする(58人)」「生理用品が落ちる(27人)」と、アスリートならではの悩みも見えてきます。

使用している生理用品の内訳(複数回答可)を見ると、ナプキン以外の選択肢として「タンポン」が38人、「吸水ショーツ」は42人に止まっています。

最近話題になっている「月経カップを使用する」と答えた人は0人となり、選手たちが従来の生理用品を使用し、フェムテックに頼らずプレイしている実態が明らかに。

また、本アンケートでは、260人の女子ユースアスリートのうち243人(94.9%)が「フェムテックを全く知らない」と回答。一部の選手は吸水ショーツを使用するなどしているようですが、まだまだスポーツ界における認知度は低いようです。自由欄でのコメントの一部には「次の生理では吸水ショーツを履いてみます!」との声も。「隠れ我慢」をなくすためには、フェムテックやピルなどの“選択肢”との接点の創出、そして悩みを話しやすい環境や相談できる雰囲気づくりが重要なのかもしれません。

「隠れ我慢」をしているかどうかは目に見えないことだからこそ、自分のまわりにも実は悩んでいる選手がいるかもしれないという視点をもつことは大切なことではないでしょうか。

「個人の問題」から「みんなの問題」へ 一人で不調を抱え込まない環境づくりを

アンケートの後半部分では、生理のトピックに限定せず、女子ユースアスリートが日々課題に感じていることについての聞き取りを行いました。

「けが」や「メンタル面での負担」だけでなく、「ロールモデルとして目指すべき人がいない/少ない(4.3%)」「女性がスポーツをすることに対するネガティブな発言が多い(5.9%)」など、女子アスリートの周囲の環境自体にさまざまな課題があることが指摘されています。

また、7割以上の選手が「生理に関するチームのサポート体制が整っていない」と感じていることが明らかに。心を開き、信頼できる大人たちの存在は、若い選手がのびのびと成長できる環境をつくる上で必要不可欠ではないでしょうか。

周囲からサポートされていると言い切れる選手を増やすためにーーー。

あまり語られてこなかった「女性アスリート」と「生理」の問題。このトピックから得た、スポーツをする・支える/関わるサイドが共通した知識を持つことの大切さ、ツールへの理解、そして周囲の環境をつくっていくことの重要性の示唆から、活動を進めていきたいと考えています。

また、これからも女子がスポーツをする/続けるために、これまで見えてこなかったさまざまな問題や課題を洗い出し、かれら**がのびのびと安心して成長できる環境づくりに取り組んでまいります。

 

クィア*:ヘテロセクシュアル(異性愛者)、シスジェンダー(生まれたときに割り当てられた性と性自認が一致している)以外のすべてのセクシュアル・マイノリティを指す包括的な言葉

かれら**:OPTは「女性だけに生理があるわけではなく、すべての女性に生理があるわけではない」という前提のもとさまざまな活動を行っています。また、スポーツ界のカテゴリーとして「女性アスリート」だと分けられている人も同様に、さまざまなジェンダー・アイデンティティの方がいると認識しております。その上で、ジェンダー・ニュートラルな日本語の代名詞としてひらがなで「かれら」という表記を使用しております。

Writer:Ai Tomita
Design:Miu Kayama

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